顧問契約とは、特定分野のプロフェッショナルに対して顧問料を支払い、必要な時にアドバイスや業務支援を受けられる契約です。弁護士や税理士といった士業をはじめ、経営コンサルタントやIT・DX分野の専門家など、幅広い領域で導入が進んでいます。
本記事では、顧問契約の基本的な考え方や費用相場、メリット・デメリット、業務改善の実例などを紹介します。
この記事でわかること
- 顧問契約と業務委託の違い
- 顧問契約の種類や契約書の内容、メリット・デメリット、注意点
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顧問契約とは
問契約(英語表記:advisory contract)とは、特定分野の専門家に顧問料を支払い、継続的に助言や支援を受ける契約形態のことです。対象となるのは、弁護士・税理士などの士業に限らず、経営・人事・IT・DXといった実務経験を持つビジネスパーソンまで多岐にわたります。
顧問は「相談役」や「アドバイザー」として、企業の課題解決や意思決定を専門的な視点から支援する存在です。
契約内容によっては、助言にとどまらず、社内プロジェクトへの参加や実務支援まで担うこともあります。
現代のビジネス環境は、技術革新や市場ニーズの多様化、グローバル競争の激化により、かつてないスピードと複雑さで変化しています。また、専門的なスキルや豊富な経験を持つ人材の採用は簡単ではありません。
こうしたなか、顧問契約を通じて、社内で不足する視点や知見を補うことで、意思決定の質を高め、持続的な成長につなげる企業が増えています。
なお、顧問契約は、外部に依頼する「外部顧問」契約と、元社員や在籍者に依頼する「内部顧問」契約に大別できます。また内部顧問は、常勤の場合もあれば、非常勤のケースもあるためそれぞれの違いを把握しておきましょう。
外部顧問と内部顧問の違いについては、以下の記事をご覧ください。
顧問契約の形態
顧問との契約形態は、多種多様です。顧問は会社法上の役員に該当せず、法律規定がないことから、契約内容は企業と顧問の間で自由に決めることができます。
多くの場合、顧問契約は「業務委託契約」のひとつとして締結され、主な契約形態は以下の3つです。
- 委任契約
- 準委任契約
- 請負契約
顧問契約では、助言や支援が中心となることから、「準委任契約」が多く用いられます。ただし、法律的助言が中心の場合は「委任契約」、成果物の納品を伴う場合は「請負契約」となることもあります。
また、常勤で業務に関与する内部顧問には、雇用契約が適用されるケースもあります。
契約形態は業務内容や関与の度合いに応じて選ぶことが重要です。
委任契約
委任契約は、法律行為を他者に委託する契約で、民法第643条に定められています。弁護士や税理士など、法律行為を伴う業務を行う顧問に多く適用されます。
準委任契約
準委任契約は、法律行為以外の業務を委託する契約で、コンサルタントによる助言や研修、業務改善などが該当します。顧問契約の大半はこの形式で結ばれます。
請負契約
請負契約は仕事の完成と成果物の提出を目的とする契約です。成果物はWebサイト制作や資料作成などが該当し、アウトプットが求められる顧問業務ではこの形式が選ばれることもあります。
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顧問契約の報酬相場
顧問契約の報酬は一律ではなく、案件内容や稼働頻度、契約形態、専門性の高さなどによって異なります。
たとえば、月に数回の相談対応が中心であれば、月額数万円~10万円程度に収まるケースが一般的です。
一方で、経営戦略や新規事業立ち上げといったハイレベルな支援では、月額50万~100万円以上となるケースも珍しくありません。
■顧問契約の費用相場
| 顧問税理士 | 月額3万~5万円 |
| 顧問営業 | 月10万~60万円 |
| 顧問弁護士 | 月額5万~30万円 |
| 経営顧問・コンサルタント | 月額3万~50万円 ※成果報酬の場合、利益に対する10~30% |
また、契約先企業の規模や課題の複雑さによって、報酬が調整されるケースもあります。とくに中小企業やスタートアップでは、予算に応じた柔軟な契約が求められることも多いため、事前の条件すり合わせが不可欠です。
なお、報酬に関しては、月額制・スポット制・成功報酬型など、支払い方法のバリエーションもあるため、目的と予算に応じて最適な形を選ぶことが重要です。
顧問契約の報酬相場については、以下の記事をご覧ください。
顧問契約書に記載する一般的な項目
顧問契約は口頭でも成立しますが、業務範囲や報酬、解約条件などでトラブルが発生しないよう、書面で契約内容を明確にすることが重要です。顧問契約書には、業務内容や報酬などの基本情報に加え、トラブルを防ぐための取り決めを明記する必要があります。
顧問契約書に記載する一般的な項目は、以下のとおりです。
■顧問契約書に記載する一般的な項目
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 契約書タイトル | 「顧問契約書」が一般的。業務内容に応じて「税理士顧問契約書」など |
| 当事者情報 | 契約当事者の企業名、代表者氏名、所在地など。顧問が個人の場合は、氏名・住所・連絡先など |
| 契約サービスの内容 | 経営アドバイス、営業支援、技術的助言といった顧問が提供するサービスの範囲 |
| 顧問料 | 金額、支払方法、支払日、実費精算の有無 |
| 契約期間 | 契約の開始日、終了日、自動更新の有無とその更新手続き |
| 解約条件 | 中途解約の可否、通知期限、手続き方法、違約金の有無と金額 |
| 守秘義務 | 秘密保持契約(NDA)の締結有無、対象範囲、契約終了後の守秘義務の継続有無 |
| 損害賠償責任の範囲 | 万一の損害発生時における責任範囲、補償の有無や上限、免責条項 |
| 管轄の裁判所 | 紛争が生じた場合の裁判所をあらかじめ指定 |
契約書は双方の認識を明確にし、信頼関係を築く上で重要なツールです。テンプレートに頼りすぎず、自社の状況に合わせて調整しましょう。
顧問契約を結ぶメリット
顧問契約を結ぶことで、企業は社内にない専門知識や視点を取り入れ、意思決定の質や業務効率を高めることができます。
主に以下のようなメリットが期待されます。

高い専門性や幅広い知識を取り入れられる
顧問契約を通じて得られる最大のメリットは、自社に不足している専門性や知識を、スピーディーかつ柔軟に取り入れられる点です。
企業が成長を目指す際には、新たな分野への展開や業務の高度化が必要になります。しかし、こうした変化に対応するだけのノウハウや経験を、すべて社内でまかなうのは現実的ではありません。
その点、外部のプロフェッショナルを顧問として迎えることで、自社にはない視点・知識・スキルを即戦力として活用できます。新たな施策を進める際にも、専門家の判断や助言を得られることで、リスク回避や意思決定の精度向上にもつながるでしょう。
さらに、顧問の知見を通じて社内人材が学び、スキルアップすることで、将来的にはその知識が社内に蓄積され、組織力の底上げにも寄与します。
意思決定のスピードと精度が向上する
顧問契約の最大のメリットは、自社に不足している専門性や知識をスピーディーかつ柔軟に取り入れられる点です。
企業が成長を目指す上で、新分野への展開や業務の高度化は不可欠ですが、こうした変化に社内リソースだけで対応するのは現実的ではありません。
そこで、実務経験豊富な外部のプロフェッショナルを顧問として迎えることで、自社にはない視点・スキルを即戦力として活用できます。専門家の助言により、施策実行時のリスク回避や意思決定の精度向上も期待できます。
さらに、顧問からのフィードバックを通じて社内人材が学び、スキルアップにつながることで、長期的には知見の内製化や組織力の強化にも寄与します。
経験にもとづく戦略的なアドバイスを受けられる
顧問契約の大きな魅力は、豊富な実務経験に裏打ちされた戦略的なアドバイスを受けられる点です。
企業経営や事業推進には、「いつ・何を・どう実行するか」という判断力が欠かせません。この判断力は知識だけではなく、過去の経験に基づく知見から生まれます。多くの意思決定を経験した顧問なら、自社の状況を的確に把握し、最適な戦略や実行プランを提示します。
実践に裏付けられたアドバイスは、具体的で即効性が高いのが特徴です。こうした支援によって、企業は短期の成果はもちろん、中長期的な目標に向けた道筋も描けるようになり、経営基盤の強化にもつながります。
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顧問契約を結ぶデメリット
顧問契約には多くのメリットがある一方で、導入前に把握しておきたい注意点やデメリットも存在します。
具体的なデメリットについて見ていきましょう。

コストがかかる
顧問契約には、一定のコストが発生するというデメリットがあります。
とくに、有資格者や実績豊富な人材と契約する場合、月額数十万~数百万円にのぼることもあり、企業にとって大きな負担となる可能性があります。
また、成果がすぐに見えにくい場合、「本当に必要だったのか」と不安になることもあるでしょう。さらに、自社に合う顧問を見つけるまでに時間と労力がかかり、スキルがあっても社風や価値観が合わなければ、期待した成果が得られないこともあります。
そのため、「とりあえず契約」ではなく、目的を明確にした上で、長期的な視点から選定・導入を検討することが重要です。コスト以上の価値を引き出すためには、計画的な活用が求められます。
契約期間や解約条件に制限がある
顧問契約を結ぶ際は、契約期間や解約条件を十分に確認する必要があります。
一般的に顧問契約の期間は1~3年程度が多く、途中解約が難しいケースも少なくありません。契約内容によっては、一方的な解約ができなかったり、事前の通知期間が定められていたりするため、「合わないからすぐにやめる」といった柔軟な対応ができない可能性もあります。
また、契約書の作成方法や記載内容に不備があると、後々トラブルの原因となることもあります。報酬の支払い条件、稼働日数、対応範囲などの曖昧な表現が誤解を生み、顧問・企業双方にとって不利益となるリスクがあるのです。
こうした事態を避けるためには、契約前に内容を十分にすり合わせ、必要に応じて法務担当者や専門家のチェックを受けることが大切です。
顧問との相性が合わない可能性がある
顧問が優れたスキルや豊富な実績を持っていたとしても、自社のカルチャーや社員との相性が合わなければ、十分な成果が得られない可能性もあります。
たとえば、トップダウン型のアドバイスを好む顧問が、ボトムアップ型の社風になじめず、現場との連携がうまく取れないことも少なくありません。また、顧問の価値観やコミュニケーションスタイルが経営陣と異なる場合、戦略の方向性にズレが生じることもあります。
こうした相性のミスマッチは、せっかく契約しても効果が出にくく、時間とコストの無駄につながるおそれがあります。
防止策としては、契約前に面談やトライアル期間を設けることが有効です。実際の業務や打ち合わせを通じて、双方の相性や価値観を確認することで、導入後のミスマッチを未然に防げます。
顧問契約を結ぶ際に注意すべきポイント
顧問契約を円滑に進め、最大限の効果を得るためには、事前の準備と条件の明確化が欠かせません。契約後に「思っていた支援と違った」「期待していた成果が得られなかった」といった事態を防ぐためにも、以下の3つのポイントに留意することが大切です。

契約の目的と役割を明確にする
顧問契約を結ぶ際にもっとも重要なのは、「なぜ顧問を迎えるのか」「何を任せたいのか」といった契約の目的と役割を明確にすることです。
目的が曖昧なまま契約を結ぶと、「期待していた成果と違う」「対応範囲が不明確」といったトラブルが発生しやすくなります。これは、顧問にとっても企業にとっても不本意な結果を招く原因になりかねません。
たとえば、「新規事業の立ち上げ支援」「人事制度の見直し」など、顧問に期待する成果や対象領域を具体的に定めることで、契約の方向性がはっきりします。また、役割を明確にすることで、ほかの社員や関係者との連携もスムーズになります。
契約前に社内で顧問活用の目的を共有し、必要な専門性や経験値を明確にした上で選定・交渉を進めることが、成果につながる第一歩です。
業務範囲・稼働条件・報酬を具体的に定める
顧問契約をスムーズに運用するためには、業務範囲・稼働条件・報酬について、できる限り具体的に取り決めておくことが重要です。
抽象的な契約内容では、「どこまで対応すべきか」「どのタイミングで関与するのか」といった点で認識のズレが生じやすく、トラブルの原因になりかねません。
たとえば、以下のような内容を事前に明確化するとよいでしょう。
■顧問契約を結ぶ際に確認すべき内容の例
| 業務範囲 | アドバイスのみか、資料作成や会議参加も含むのか |
| 成果物の有無 | 口頭助言のみか、レポート提出などを求めるか |
| 稼働日数・時間 | 月何回の訪問・オンライン対応を想定しているか |
| 契約期間・解約条件 | 何カ月単位の契約か、解約通知は何日前か |
| 報酬 | 月額制かスポット制か、追加料金の有無と支払方法 |
報酬と業務量のバランスが取れていないと、顧問側のモチベーション低下や、企業側の不満につながるおそれがあります。双方が納得できる条件を丁寧にすり合わせることが、良好な関係の構築につながります。
守秘義務と利益相反リスクへの配慮を徹底する
顧問契約では、企業の内部情報や経営戦略など、機微な情報にふれる機会が多いため、守秘義務と利益相反(コンフリクト)への配慮が欠かせません。
まず、顧問には業務上知り得た情報を第三者に漏らさない義務を負ってもらう必要があります。そのためには、契約書に秘密保持契約(NDA)を明記し、情報漏洩が起きた場合の責任範囲も含めて明文化することが重要です。
また、顧問が他社とも同様の分野で契約を結んでいる場合、利益相反が生じるリスクもあります。たとえば、競合企業のアドバイザーを同時に務めている場合、自社にとって不利益となる可能性も否定できません。
このようなリスクを防ぐためには、顧問の契約状況や活動範囲を事前にヒアリングし、必要に応じて契約書に「競業避止義務」や「兼務制限条項」などを設けるといいでしょう。企業としても顧問の立場や活動内容を正しく理解し、信頼関係を築く姿勢が求められます。
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顧問の活用事例
実際の外部顧問の活用事例を知ることで、その効果や活用シーンをより具体的にイメージできます。
ここでは、パソナJOB HUBが提供した事例を通じて、外部顧問の実際の活用方法について見ていきましょう。
外部顧問の支援によりECと実店舗を活かしたオムニチャネル戦略を実現(株式会社モスフードサービス様)
株式会社モスフードサービス様では、ECと実店舗を連携させた新たなオムニチャネル戦略の立ち上げにあたり、社内に十分な知見がありませんでした。とくに、EC事業の立ち上げ経験やデジタル戦略に長けた人材が不足していたため、構想段階での検討が難航していたのです。
そこで、パソナJOB HUBを通じて、ECビジネスの豊富な実績を持つ外部顧問を導入。オムニチャネルの戦略設計からECサイトの構築、実店舗との連携まで、段階的なロードマップを描きながら支援を行いました。
その結果、ECと店舗の強みを活かしたハイブリッドな販売戦略が実現。現場にも定着する運用体制を構築できたことで、新たな売上の柱として事業の可能性が大きく広がりました。
株式会社モスフードサービス様の事例については、以下の記事をご覧ください。
エンジニア採用の質と量を劇的に向上させた顧問力(株式会社セブン銀行様)
株式会社セブン銀行様では、IT・デジタル領域の事業強化に向けて、エンジニアの採用が急務となっていました。しかし、専門性の高い人材の母集団形成に苦戦し、採用活動の戦略や実行力に課題を感じていたのです。
そこで、パソナJOB HUBを通じて、IT人材採用の実務経験と知見を持つ外部顧問を導入。求める人材像の言語化、採用広報の見直し、選考プロセスの改善など、採用戦略全体を一から再設計しました。
その結果、数カ月で採用母集団が拡大し、質の高い候補者との接点が増加。実際に複数名の優秀なエンジニアの採用にも成功し、経営陣からも高い評価を得ることができました。
株式会社セブン銀行様の事例については、以下の記事をご覧ください。
顧問の活用なら、パソナJOB HUBにおまかせ
顧問契約には多くのメリットがありますが、「最適な顧問を見つけるのが難しい」「契約条件の調整や書類作成に自信がない」といった不安や課題も少なくありません。
とくに、顧問選定の経験がない企業にとっては、人選の目利きや契約交渉の進め方が大きなハードルになります。
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よくある質問
顧問契約とは何ですか?
顧問契約とは、特定分野の専門家に顧問料を支払い、継続的に助言や支援を受ける契約形態のことです。
顧問契約は「業務委託契約」のひとつとして締結されることが一般的で、顧問契約では、助言や支援が中心となることから、「準委任契約」が多く用いられます。
顧問契約の報酬相場はどのくらいですか?
顧問契約の報酬は、案件内容や稼働頻度、契約形態、専門性の高さなどによって異なるため、一概にはいえません。 たとえば、月に数回の相談対応が中心であれば、月額数万円~10万円程度に収まるケースが一般的ですが、経営戦略や新規事業立ち上げといった支援では、月額50万~100万円以上になることもあります。
顧問契約を結ぶメリットは何ですか?
顧問契約を結べば、高い専門性や幅広い知識を取り入れられるほか、意思決定のスピードと精度が向上することがメリットとして挙げられます。
また、豊富な実務経験に裏打ちされた戦略的なアドバイスを受けられる点も魅力のひとつです。