人事制度は、経営戦略を実現するための仕組みです。競争力を維持・強化するには、自社の成長フェーズや人材戦略に即した制度設計が必要です。制度が現状のビジネス環境に合わないままでは、従業員のモチベーション低下や人材流出を招きかねません。
本記事では、人事制度を見直す目的やタイミング、見直しの手順について、成功事例とともにご紹介します。
この記事でわかること
- 人事制度を見直す目的や必要性、見直すタイミングと進め方
- 人事制度の見直しを成功させるポイントや外部プロ人材の活用事例
- 人事制度のプロ人材をお探しなら、ProShare(プロシェア)
人事制度の見直しをする目的と必要性
人事制度は、採用から退職までをカバーする包括的な仕組みですが、見直しの対象となるのは、評価・等級・報酬といった処遇制度が一般的です。

人事制度を見直す目的は、従業員のモチベーションを高めつつ、人件費の適正管理を実現し、持続的な成長を支えることです。制度が現状に合っていない場合、従業員の不満や生産性の低下を招き、離職につながるおそれがあります。
厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」によると、転職者の76.6%が自己都合で離職しており、主な理由は以下のとおりです。
<自己都合による離職理由>
- 労働条件(賃金以外)がよくなかった:28.2%
- 満足のいく仕事内容でなかった:26.0%
- 賃金が低かった:23.8%
- 能力・実績が正当に評価されない:15.8%
とくに「能力・実績が正当に評価されない」と回答した割合は、45~49歳で24.2%に達しています。長年企業に貢献してきた中堅・ベテラン層に不満が集中すると、人材流出リスクが高まります。
こうしたリスクを防ぐためにも、人事制度の見直しは欠かせません。社会環境や企業戦略の変化に合わせ、制度を定期的に調整することが重要です。
なお、見直しにあたってはプロジェクトメンバーを組織し、各部門から参画を得ることが望ましいでしょう。さらに、外部のプロ人材の意見を取り入れることで、公平かつ客観的な制度設計につながります。
※出典:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/6-18c-r02.html
離職防止の対策については、以下の記事をご覧ください。
人事制度を見直すべきタイミング
人事制度は、自社の実情に合わなくなったタイミングで見直しが必要です。
見直しのきっかけは、大きく内部要因と外部要因に分けられます。
<内部要因>
- 企業方針や経営戦略の転換により、求める役割や目標が変わったとき
- 事業拡大によって従業員数が増えたとき
- 組織再編に伴い人員配置を見直すとき
<外部要因>
- 市場ニーズや働き方の変化に対応するとき
- 最低賃金の改定、労働時間規制の強化、有給休暇取得の義務化など、法改正や制度変更があったとき
こうした要因に直面した際は、現行制度の妥当性を点検し、必要に応じて再設計することが重要です。
人事制度を見直す際の手順
人事制度を見直す際の手順について解説します。一般的な流れは以下のとおりです。

1.企業方針の確認
制度を見直す前提として、企業理念や経営戦略などの企業方針を確認します。
組織全体で方向性を共有することで、改革の軸がぶれないようにします。
2.現状調査・課題の明確化
次に、現状を調査して課題を明確にします。
人件費や労働時間、人員配置、報酬水準などの定量データに加え、評価者・従業員アンケートなどから定性情報も収集し、制度上の課題を洗い出します。
調査の例は以下のとおりです。
<調査の例>
- 人件費分析:1人当たり付加価値額、1人当たり売上高(人件費と業績推移の相関)、労働分配率
- 労働時間:部署、職位、年齢別
- 人員配置:人員分布(かたより)、人員過不足
- 報酬水準:自社と他社の比較、厚生労働省の賃金構造基本統計調査
- 人事評価者アンケート:人事制度に対する満足度や運用課題
- 従業員アンケート:人事制度に対する満足度や不満点
3.基本方針の設計
調査結果をもとに、制度上の矛盾や不整合を洗い出し、基本方針を設計します。
たとえば、年功制による給与の逆転現象など、実態に即した制度の方向性を明確にします。
職種と年齢構成から人員分析を行った結果の例は、以下のとおりです。
<職種と年齢構成から人員分析を行った結果の例>
- 55歳~:在籍者が多いため退職金の原資確保
- 40歳~:専門職制度導入で管理職と非管理職の逆転現象を是正
- 30歳~:技術職が不足、事務職を外部委託して事務職人材のリスキリングにより技術職人材の増強
- 25際~、45歳~:営業職の高齢化、若手営業職の育成で世代交代
調査データからロジカルに改善方針を策定することが重要です。
4.等級・評価・報酬制度の見直し
人事制度の核となる、等級・評価・報酬制度を見直します。
役割や能力に応じた等級、成果や行動を基準とした評価、適正な報酬バランスを再構築することで、従業員のモチベーション向上と人件費管理の両立を図ります。
他社水準や法令順守も意識しましょう。
5.従業員への説明・運用開始
制度変更は従業員の納得と理解が不可欠です。賃金や評価への影響が大きい場合はシミュレーションを行い、丁寧に説明してから運用しましょう。
導入後も現場の声を取り入れ、改善を重ねることが定着のカギです。
\ 人事制度改定や採用、研修などあらゆる人事課題を解決 /
人事制度の見直しを成功させるポイント
人事制度を見直す際には、以下の3点を意識することで、制度の形骸化や運用上の混乱を防ぎ、組織への定着を促すことができます。

制度を複雑化させない
人事制度の見直しは、公平性・合理性を重視しつつも、複雑化させないことが成功のポイントです。
公平性や合理性は当然重視すべき要素ですが、それを担保する評価項目が過多になると、評価者の管理工数が増加し、評価の精度や納得感が低下しかねません。
その結果、従業員のモチベーションが損なわれる可能性もあります。
従業員にとっても評価者にとっても、制度の構造が明確で理解しやすいことが、制度を組織に根づかせる上で重要です。
見直し期間を長期化させない
見直し期間を必要以上に長期化させないことも、人事制度を見直す際のポイントです。
人事制度の見直しには一定の時間がかかりますが、長期化すると現場に混乱が生じるリスクが高まります。
旧制度のまま現場を運用し続ければ、処遇への不満が蓄積し、離職リスクにつながる可能性があり、準備が不十分なまま導入を急ぐと、制度の定着に失敗するおそれもあります。
そのため、導入日を明確に定め、現実的かつ段階的なスケジュール設計が重要です。
評価者の教育も同時に行う
人事制度の見直しを成功させるためには、制度設計と並行して評価者の教育を行うことも重要です。
人事制度が機能するかどうかは、制度そのものだけでなく、評価者の運用力に大きく左右されます。評価基準の解釈や運用にバラつきがあると、評価の公平性や透明性が損なわれ、従業員の納得感や信頼性が失われかねません。
単なる制度導入で終わらせず、制度に関わる人材も育てていくという視点が大切です。
社内で人事制度の見直しが難しい場合は、プロ人材の活用がおすすめ
人事制度の見直しは、設計から運用定着まで複雑なプロセスが求められる取り組みです。手順やポイントを押さえつつ、戦略的に進めるには、制度構築に関する専門的な知見が不可欠です。
さらに、社内アンケートや他社比較のほか、労働基準法や労働関係諸法令などへの対応も必要です。
こうした複合的な要件を社内リソースだけで対応するのは容易ではありません。外部の知見を取り入れることで、より実効性の高い人事制度の見直しが実現できます。
外部のプロ人材は、客観的な視点から課題の本質を見極め、見直しに向けた社内の合意形成や調整も支援できます。
これにより、組織内の負荷を抑えつつ、見直しの質とスピードを高めることが可能です。
\ 人事制度改定や採用、研修などあらゆる人事課題を解決 /
人事制度の見直しにおけるプロ人材の活用事例
ProShare(プロシェア)の活用事例をご紹介します。
自社でプロ人材の活用を検討する際の参考にしてください。
人事施策へセカンドオピニオンを取り入れ、戦略の妥当性を強化(三井情報株式会社様)
人材戦略の高度化に取り組む三井情報株式会社様では、既存の人事施策について客観的な視点からの検証が課題となっていました。
制度や方針の妥当性を確認し、経営層の意思決定を支えるために、「プロシェア」を通じて人事分野に知見を持つプロ人材を活用。
施策の方向性に対するセカンドオピニオンを得ることで、スピーディーに人事制度を構築できました。
三井情報株式会社様の事例については、以下の記事をご覧ください。
制度設計の専門家による支援で、短期間で社内規程を刷新(化研マテリアル株式会社様)
防水材をはじめとする建築土木資材を提供する化研マテリアル株式会社様では、社内規程の再設計を検討するにあたり、ノウハウ不足が課題となっていました。
そこで、「プロシェア」を通じて人事制度設計に豊富な経験を持つプロ人材に依頼。制度案に対する実務的な観点からのアドバイスに加え、社内規程の作成にも直接かかわり、短期間で刷新することに成功しました。
化研マテリアル株式会社様の事例については、以下の記事をご覧ください。
ProShare(プロシェア)では、人事制度において知識や経験が豊富なプロ人材の紹介が可能
人事制度の見直しを進める上で、社内リソースだけでは対応が難しいケースは少なくありません。専門的な知見を持つ人材が限られていたり、業務負荷が一部の担当者にかたよったりすることで、制度の見直しが思うように進まないという課題も見受けられます。
こうした課題に対して、パソナJOB HUBが提供する「プロシェア」では、人事領域における経験豊富なプロ人材をスピーディーに紹介可能です。
制度設計、評価制度の再構築、労務法規対応、従業員説明支援など、目的に応じて最適なスキルセットを持つプロ人材をご提案します。
「プロシェア」では、大手企業や一流企業で成果を上げてきたプロ人材が多数登録しており、企業ごとの課題に応じて最適な人材を紹介可能です。週1日からの稼働や短期支援など、必要な分だけ、プロフェッショナルのスキル・ノウハウを取り入れられます。
これまでに2,500社以上の企業に導入されており、業界や業種を問わず、幅広い課題解決に活用されています。
導入は、ヒアリングから最短1~2週間で支援開始が可能です。初めての依頼でも、コンサルタントが導入から稼働まで伴走するため、安心してご利用いただけます。
初回相談・人材提案はすべて無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問
人事制度の見直しはなぜ必要なのですか?
人事制度が現状に合わないまま運用していると、従業員の不満や生産性の低下を招き、離職につながるおそれが生じるためです。
企業を取り巻く環境は日々変化していることから、人事制度は定期的に見直すことが重要です。
人事制度を見直すべきタイミングは?
経営戦略の転換や働き方の変化、事業拡大・組織再編、法改正などにより制度が実情に合わなくなったときは、見直しが不可欠です。
制度を現状に適応させることで、従業員の納得感と企業の持続的成長につながりやすくなります。
人事制度の見直しを成功させるには?
人事制度の見直しは、制度を複雑化させないこと、見直し期間を長期化させないこと、さらに評価者の教育を同時に行うことが成功のポイントです。
制度の構造を明確にし、理解しやすくするとともに、公平性と透明性を担保することで、組織に定着しやすくなります。